◆不動産の相続手続きをせずに放置したり、相続のあと空き家をそのままにしておくのは、非常にリスクが高いことです。
1.固定資産税の課税
相続手続きをしない場合でも相続人に対しては毎年、固定資産税の請求が来ます。
評価額の安い山林や原野についてはかからない可能性はありますが、建物や宅地であれば、使っていない状態でも毎年固定資産税や都市計画税がかかってしまいます。
また、相続人が相続財産について固定資産税を払っている場合、相続放棄をすることは難しいと思われます。
2.近隣からの損害賠償等の請求の可能性
建物は特に危険が高く、家屋の傾きや屋根の剥がれ、落雪等で隣の家から修繕や解体の請求の可能性、倒壊により被害が出れば損害賠償請求をされるおそれもあります。
更地であっても、隣地から草刈りを請求されたり、木が倒れたり越境するなどで損害を与えてしまう可能性があります。また、廃棄物の不法投棄といったリスクもあります。
3.建物の老朽化
当初は住める状態であった建物でも、空き家のまま放置すると建物が傷み、住むために修繕が必要となってきます。
当然、修繕が必要な建物は売却のときも価格が下がり、場合によっては売却自体ができなくなり、解体の必要が出てきてしまいます。
4.相続関係の複雑化
相続登記には期限はありませんが、相続手続きを放置していると、相続人の死亡により新たな相続関係が発生する可能性があります。
いざ買い手が現れたときも、相続登記をしていないと売ることができず、すぐに相続登記を行っておけば簡単だった手続きも、時間が経って相続人が増えたことにより疎遠な相続人や連絡先のわからない相続人が現れ分割協議が進まず、売却のタイミングを逃してしまうことも考えられます。
◆不動産は、税金や管理の必要性が発生するため、必ずしもプラスの財産ではなく、場合によっては負債を生じて、いわゆる負動産となることもあります。
相続放棄をする場合は、「相続を知ってから三か月」という期限もあります。相続するかどうかも検討に含め、早めの手続きが肝心となります。