登記の専門家である司法書士でも、相続登記の際に見落としをして相続登記が漏れてしまう不動産があります。
例えば、私道公衆用道路・私道持分(個人所有の道路・その持分)や、権利能力なき社団の代表者としての登記が見落とされていることを見かけます。
他の司法書士が行った相続登記や、お客様が自分で相続登記を申請した不動産を売買で取り扱う際に、こういった相続登記の見落としを発見することがあります。
一般的に、相続登記をすべき不動産は「権利書の有無」「固定資産税の請求」「名寄帳の取得」「遺言書の記載」などにより判明したものを申請します。
しかし、私道持分は公衆用道路となっており非課税であったり、近隣の所有者と共有であって固定資産税の請求が他人宛であったり、または課税台帳上の所有者が別で名寄帳でも出てこなかったりします。
こういった場合で権利証がなく本人や家族も把握していないケースでは、書類上所有不動産が調べられず見落とされることが多いです。
図面での調査や、現地の雰囲気(大きな道路から舗装のない中道に入った場所であるとか、接道がなく建築許可が下りないように見える建物であるとか)で私道が判明することがあります。
一般的に相続登記に必要な書類を見るだけでは私道を発見することは難しいですが、いざ売却するときには再建築や接道関係(水道やガス管の引き込みの権利)もあって相続登記が必要となりますので、再度の相続登記をしなければなりません。
場合によっては、相続人全員から再度、遺産分割協議書をもらいなおす必要が出てきますので、私道は可能な限り見つけておきたい不動産です。
(権利能力なき社団とは)
権利能力なき社団とは、法律の規定によらないで設立される団体をいいます。
一般社団や株式会社といった法律上規定される名前がついていない団体のことです。〇〇会とか、ボランティア団体とか、そういったものです。
こういった団体は所有権の登記名義人になることができないため、代表者の「個人の名前」で登記されます。
例えば、町内会や公園管理団体や神社の氏子会、法人格のない労働組合などでしょうか、被相続人がまちの有力者であった場合、こういった団体の会長職等で町内会の土地や団体の事務所(〇〇会館)のような不動産の名義人になっている場合があります。